(※この路線は2011年9月末に廃止されました) 2011年9月末に伊予鉄バスの伊予市内のバス路線の多くが廃止になるという情報を得て、 その中でも1日2往復しかない長浜・大栄線の上灘と柆野口(くいのぐち)の間の区間を乗車してみました。 伊予上灘駅前を15:11に発車するバスですが、2分後に到着する列車からの客を待ってくれるようで、 私を含め2人が列車から乗り換えました。 バスは始発の長浜からここまで海を見ながらの走行です。双海町中心でお客さんが降り、海を離れたバスの客は私一人になりました。 このバスは30年以上前に製造され、なんと四国の現役路線バスの中では最古の車両(日野RLのモノコックとのこと)、 この柆野口への便でも時折使用されていたようです。それでも整備が行き届いたバスは、軽々と田中の坂を登ってゆきます。 再び元の道に戻り、坂を登り始めると、まもなく終点柆野口です。バスは木陰の回転場に滑り込みました。 運転手さんに、柆野口のバス停看板の写真を撮りたいと言うと、「電信柱のあたりだったはずだが・・・」と 言いますが、見当たりません。草の中をかき分けると、錆びて草のまきついた時刻表看板だけが姿を現しました。 それを拾い上げて弔うように近くに置き、バスとともに記念撮影。すると住民の方が近寄ってきて「もうバスは来ないのかね。」と 寂しげに私に聞きます。廃止にあたって時刻表を回収していると思われたのでしょうか。 運転手さんの話では、この地域の人が実際に利用したことはほとんどないとのこと。 一方、バスの雄姿を沿線から写真撮影している方の姿も見られました。 住民の方もバスの存在を身近に感じているようですが、ガラガラの車内や朽ちた時刻表の現実を見ると、廃止もやむを得ないのかと 残念に思います。 上灘駅前15:11−【伊予鉄南予バス290円】→15:29柆野口15:35−【伊予鉄南予バス290円】→15:43双海町役場前 2011年8月の情報
軽井沢と草津という二大観光地を結ぶバス路線が2つあります。今回はそのうち草軽交通のバスをご紹介します。 草軽交通は、軽井沢駅近くに本社を置く、主に2つの路線だけ運行する小さなバス会社です。 車窓に広がる牧場とキャベツ畑。高原の坂を駆け下り、JR吾妻線羽根尾駅前にある 応桑道(おおくわみち)バス停に到着です。バスはこのまま草津温泉へ向かいますが、 今回はここで鉄道に乗り換え、バスの旅を終えます。 軽井沢駅11:10−【草軽交通710円】→11:33白糸の滝12:13−【草軽交通1220円】→12:48応桑道 2011年7月の情報
ここは三重県南部の熊野市駅、今回の目的地は和歌山県北山村です。 村は和歌山県にありながら奈良県と三重県に囲まれ、村の境界線が全て県境という変わった村。 日本で唯一の飛び地の自治体です。 村の中心へは2つのバス路線がありますが、往路は熊野市が三重交通に委託しているバスに乗車してみます。
人口は500人あまり、大沼橋に近い村役場の周辺には数軒の家がありますが、人影がありません。大沼地区には じゃばらの加工場があります。じゃばらは北山村原産の柑橘類で、花粉症に効果があるという話で、従来の木材とともに、 現在の村の財政を支えています。村の子供たちは豊かな財政と少人数のため、北山中学校では修学旅行がアイルランドです。 各家庭の負担は数万程度、あとは村が全額補助。 さらに進むとおくとろ公園に到着します。ここには道の駅などの施設があり、村の観光の中心であるいかだ下りの出発点。 木材をいかだで下流に運搬していた当時の筏師の技術を利用しているのです。 しかし当時の筏師は高齢化し、新たな若者を養成しようとしてもなかなか定着しないとのこと。 北山川には3つもダムができ、村は補助金で潤ったものの、川の流れは静かになり、以前豊富だった鮎や鰻などの天然資源は大幅に 枯渇したそうです。 帰路は木屋から北山村営バスで熊野市駅に戻りました。この村営バス、駅との間はわずか1日2便。運賃は駅まで800円ですが、 村民は無料だそうです。乗客は私ひとり、昔の北山村の様子は、この村営バスの運転手の方からうかがった話です。 熊野市駅13:18−【熊野市バス800円】→14:13大沼・・・(徒歩2km)・・・木屋15:18−【北山村営バス800円】→16:15熊野市駅 2010年7月の情報
( ※注意 現在は原発事故により大部分が運行されていません。) 原ノ町駅前を少し進むと駅前のバス停があり、国鉄特急色の福島交通のバスがやってきました。 市街地だけを利用する客が数人いましたが、しばらくすると客は一人だけ、車内は寂しくなりました。 かなり長距離を走りましたが、運賃表示機は800の数字が並んでいます。どこまで乗っても運賃が800円を超えない 特例を設けているそうです。運転手の方が「得なので終点まで乗っていくかい?」と言ってくれましたが、 景色もよいので、飯舘村最後のバス停である水境で降りることにしました。文字通り分水嶺です。 下車すると「水芭蕉群生地 平馬」の看板が。飯舘村内には多くの水芭蕉群生地があるようです。 バス停近くには水境妙見初発神社があり、その境内にも水芭蕉の姿がありました。周辺は高原の雰囲気、さながら尾瀬のよう。 「飯舘牛」の看板を見ながら、川俣町へと坂を下っていきました。 現在は飯舘村も川俣町も大変な状況ですが、またあの水芭蕉を拝める日を心待ちにしています。 原ノ町駅7:06−【福島交通800円】→8:00水境・・・(徒歩5km)・・・ 川俣町役場前10:07−【福島交通800円】→10:47頃 福島駅 2006年4月の情報(2011年5月現在は運行されていません)
北海道南西部にある羊蹄山(ようていざん)、蝦夷富士とも呼ばれる美しい成層火山です。この山のまわりをバスで一周してみましょう。 まだ夜も開けきらぬ倶知安駅前。喜茂別行き始発の発車時刻は5:55の予定ですが、運転手は6:00を過ぎて来ました。客は一人、いつもは 無人運行なのでしょう。倶知安中心部の広い通りを抜けてゆきます。京極町に入ればまもなく日の出です。右手には朝日に輝く 羊蹄山が拝めます。 京極農協前バス停で降りて、ふきだし公園に羊蹄山の湧き水を飲みに行きましょう。誰もいない朝の公園は幻想的、水も冷たくまろやか です。
倶知安駅5:55−【道南バス420円】→6:20京極農協・・・(徒歩)・・・ 京極中央7:35−【道南バス400円】→7:55喜茂別8:02−【道南バス480円】→8:15頃 留寿都北町・・・(徒歩)・・・真狩9:37−【道南バス400円】→9:52ニセコ本通 2006年10月の情報
話をがらっと変え、常夏の島のバスの話を。 久米島や伊江島など沖縄のいくつかの離島には小さなバス路線があります。今回はその中で那覇からフェリーで1時間あまりの 渡嘉敷(とかしき)島のバスをご紹介。地元のとかしき観光バスが渡嘉敷港とアハレンビーチを結ぶ1路線を運行しています。 (運賃は400円均一 通常1日3往復、夏は4往復) また渡嘉敷は激戦の地、悲劇の舞台です。港近くに資料館もあります。ご訪問のときは島のもう一つの表情もぜひ ご覧ください。 渡嘉敷港11:30−【とかしき観光バス400円】→阿波連ビーチ13:00−【とかしき観光バス400円】→渡嘉敷村役場前 2009年7月の情報
(※この路線は2018年9月末に一部区間が廃止されました 自治体の予約制バスが代替) 日本にこんなバス路線があったのか。秘境秋山郷へ向かうバスは、想像をはるかに超えたものでした。 十日町駅から津南行きのバスに乗り、津南町役場前で下車、ここで秋山郷へ行く和山温泉行きに乗り換えます。 (津南町役場は飯山線津南駅からは約2km、徒歩も可能だが足元悪し) バスに乗り込むと、当たり前のように 客はいません。ただこのバス、車内をよく見ると少し変わっています。前方に一つしか出入口がないので、 2人掛けの青い座席が整然と後方まで並んでいます。床は古い校舎を思わせる木製。運賃表も電光式でなく、 直角に開いた本のページが次々に上から落ちてくる古い形式。私の座席の足元にはチェーン。 豪雪の秘境に向かう車内は風情たっぷりです。 そしてなぜか急に路面の雪が消えます。 よく見ると、細い坂道が急流の川になっているではありませんか。私の不安をよそに、バスは数分でこの長い川の坂を登りきりました。 とても人間の進める道ではありません。昔の人は冬はどのように往来していたのでしょう。津南から約1時間、 カーブの連続で、いつものようにバス酔いし始めました。しかし大赤沢を過ぎれば、まもなく長野県栄村に入り、 目的地小赤沢に到着。少し手前の小赤沢入口で下車しました。なおバスはこの先、終点の和山温泉まで行って、すぐ折り返します。 小赤沢は秋山郷で一番大きな集落ですが、冬は静まり返っています。小赤沢温泉も冬季休業。ただ一軒のたばこ屋が営業して おり、ここで温かいコーヒーとパンを買うことができました。少し歩くと全身が真っ白に、融雪の水で靴の中も びちゃびちゃになってしまいました。小赤沢入口バス停には立派な待合室があります。誰もいない静かな部屋で、外の白い世界を 見ながら飲むコーヒーは格別の味です。この地域は積雪が3m程度になることも多く、数年前は豪雪のため孤立したほど 厳しい環境。その分、他にない豊かな自然。次回は避暑や紅葉狩りに訪れてみたいものです。 津南と小赤沢の間は片道600円。同額のどんな遊園地の乗り物より魅力的・・・と、誰も乗らないバスを見て残念に思う のでした。 津南役場前11:24−【南越後観光バス600円】→12:20小赤沢入口13:13−【南越後観光バス600円】→14:13津南病院 2011年1月の情報
今回は群馬県館林駅から利根川を越えて埼玉県の熊谷を目指す変わったルートをご紹介します。 館林から西へ向かう千代田町方面へのバスは3経路ありますが、 この朝の時間帯はこれらが駅前に集結。その中でも三林経由の赤岩渡船行きに乗車します。 休日とあって車内は閑散。館林市街を抜けると、バスは緑鮮やかな田園風景に囲まれます。 千代田町に入り役場など町中心を巡回すると、まもなく終点赤岩渡船バス停です。 まさに利根川の河川敷にあります。 群馬県側と違ってこちらには小さなグラウンドがありにぎやか。 近くにはグライダー施設もあり、上空には飛行物体が行き交います。 この旗のすぐ隣に、葛和田(くずわだ)バス停があります。ここから熊谷駅へ国際十王バスが発車します。 便数も比較的多いので、一般の方はこれに乗車しましょう。
館林駅8:15−【館林市営バス200円】→8:47赤岩渡船−【赤岩渡船 無料】→ 葛和田・・・(徒歩1.2km)・・・ 葛和田老人憩いの家10:48−【熊谷市営バス100円】→11:39熊谷駅 2009年9月の情報 |