1月の朝の武生(たけふ)駅、気温は氷点下3度。目指すは山間部にある池田町の中心、稲荷(いなり)です。 武生駅とを結ぶバス路線は循環線になっています。今回は本数の多い南側の魚見経由の便に乗ります。(多いと言っても休日は南回りが 2本、北回りは1本なのですが・・・)当然のごとく客は一人。 まずは稲荷バス停の目の前にある国指定文化財の須波阿須疑(すはあすぎ)神社、バス停名の由来です。 この神社では小豆島の神様である大野手比売(おほのてひめ)が祀られています。池田町は、瀬戸内海の小豆島の旧池田町の人々が 移住して開拓された町なのです。 中心通りを北に向かうと、池田郵便局を過ぎて役場近くの交差点に出ます。左折すると大きな町役場が見えますが、右折すると これも国指定の文化財である堀口家住宅があります。江戸時代初期建設の茅葺き屋根です。 この日の積雪は1mを超え、内部の様子を深く見ることはできませんでした。 こちらは行きと違って激しい峠越えはありません。バスは雪色の小さな川に沿って下ります。 これが福井市に流れ込む大河となる足羽(あすわ)川です。やがてこの路線は越美北線の美山駅近くから鉄道と並走します。 美山駅最寄の朝谷バス停で下車し、徒歩10分ほどの駅から鉄道に乗り換えたのでした。 青空に輝く白銀の車窓劇は、今冬も各地のバスで繰り広げられます。 武生駅7:41−【福井鉄道バス1020円】→8:35稲荷・・・(徒歩600m)・・・役場入口8:55−【京福バス760円】→9:20 朝谷・・・(徒歩800m)・・・美山駅 2010年1月の情報
稲武では10分の乗り継ぎで、愛知県側最後の集落である上郷(かみごう)へ。 時間帯によっては長野県の根羽までの直行便もあるのですが、本数はかなり少なく不便です。 バスはどんぐりの湯など稲武の町を一周してから再び車庫に戻り上郷に向かいます。やはり乗客はひとり。 運転手の方が沿線を案内してくれました。あたりの紅葉はピークを過ぎたそうです。冬は20cmの 雪が積もるという野入、柏洞の集落を過ぎ、しだれ桜で有名な大安寺を川の向こうに見れば間もなく上郷に到着です。
上郷から1時間ほどで根羽村役場前に到着。 役場前には見事な玄武岩があります。村役場の資料によればなんとこの根羽一帯は以前火山で、役場の近くに 中心火口があったらしいから驚きです。 地理的には矢作川の最も上流にあたり、三河地区との結びつきが強いようです。ここまで通った国道153号線の 基礎となった三州街道は武田信玄によって開発され、その信玄はこの村でなくなったとして信玄塚があります。 この後平谷から三州街道を外れて飯田に出たため、バス旅の紹介はここで終わりますが、根羽より飯田への三州街道の旅も 運賃わずか200円の西部コミュニティバスと、信南交通を乗り継いで簡単にできます。 秋の深まった三州街道を、古の旅人の姿に思いをはせながらめぐってみてはいかがでしょうか。 四郷駅6:39−【豊田市営バス500円】→7:19香嵐渓9:26−【豊田市営バス600円】→10:10稲武10:20− 【豊田市営バス200円】→10:39上郷・・・(徒歩6km)・・・根羽 2007年11月の情報
(※2011年3月に津野町営バスの一部が廃止され、乗り継ぎができなくなりました。) 高知の山間部で細々と活躍する仁淀川町営バスと津野町営バスをご紹介します。 なお、どちらも鉄道の駅のない町のため、まず仁淀川町へは佐川駅から黒岩観光バスで、津野町へは須崎駅から高知高陵交通で行くなど、 別の便も利用する必要があります。私は前者を選んで仁淀川町役場のある土佐大崎までやってきました。 その先の長者で大崎から一緒だった2人が降りると同時に、子供が2人乗り込みました。刑部バス停で子供たちはバスを降り 、運転手に「ありがとうございました」と言うと、既に川で泳いでいた友達の方へ走って行きました。 私一人を乗せた津野町営バス、驚くほど寂しく薄暗い道。長い矢筈トンネルを抜けてついに津野町に入りました。 このあたりは四万十川の源流域です。バスは清流に沿って走りますが、たまに見える家は廃屋ばかり、 お盆にだけ麓から戻ってくる人もいるようですが、これでは途中の乗降はありません。 まもなく津野町最大の名所である四国カルストの天狗高原との分岐を通過します。なお、この津野町営バスには 四国カルストへ行く便もありますので、どうぞご利用ください。 さきほどのバス通りに戻って新田までは約6km。 途中史跡の説明看板があり、吉村虎太郎の誕生地とあります。坂本龍馬と並んで土佐の四天王と呼ばれた暴れん坊です。 さらに坂を下ると、川に一本橋が見えます。「四万十川芳生野早瀬の一本橋」とあります。この付近は水かさが増すと橋が水面に沈む 「沈下橋」が有名ですが、このような簡素な橋をよく見かけます。 この時期の山の天気はきまぐれ、すっかり雷雨に巻き込まれてしまいました。滝以外は車窓からも眺められるので、夏は 終点新田までの乗車をおすすめします。 土佐大崎12:43−【仁淀川町営バス200円】→13:15織合橋13:20−【津野町営バス560円】→13:50ごろ※古味口 2007年8月の情報
九州には数々の石橋が残っています。その中でも特筆すべき霊台橋と通潤橋。この橋がある2つの町を結ぶのが 今回ご紹介する熊本バスの路線です。 バスの起点は熊本の交通センターですが、鉄道利用者は南熊本駅前からが便利。 まずはバス停の名にある二俣橋。約30mの石橋が連続して架かっています。次のバス停は小莚。小莚橋は47m。 さらに進むと馬門橋バス停、馬門橋は27m、1828年架橋とのこと。これら多くの橋は江戸時代後期に架けられたものです。 しばらくするとバスは国道をそれ、並行する旧道の集落に入ります。目磨(めとぎ)、大窪とバス停を通過しますが、 それぞれ目磨橋、大窪橋という石橋があります。(一部は近年の水害で流出したという話も。) 以上の石橋はバス停からは近いようですが、車窓からじっくり眺めることはできません。時間のある方はどうぞ途中下車して ご覧ください。 砥用中央、学校前と旧砥用町の中心集落を通過し、再び国道に合流すると、いよいよ最大の見せ場である、全長90m、径間 (アーチの大きさ)28mの「霊台橋」です。 明治より前に作られた石橋としては日本一、その後を含めても第3位の大きさだそうです。 バス停の名にもありますし、左手の車窓からもよく見えます。現在のバスはこの橋と並んで架けられた新しい橋を渡りますが、 1966年までは霊台橋の上を走っていたそうです。 出発から2時間、ようやく終点である浜町営業所に到着。ここは旧矢部町の中心、現在の山都町の役場のある場所です。 南熊本駅前9:39−【熊本バス砥用経由1430円】→11:45頃 浜町 2006年8月の情報
ほぼ円形の島ですから、海側に席をとれば常に大きな海を楽しめます。西海岸では、海の向こうに神津島が見えます。 北部の伊豆、神着(かみつき)付近は本州に近く古くから栄えた地域、旧島庁舎や神社など興味深い名跡が多くあるので、 ぜひ途中下車してみましょう。いずれもバス通り沿いにあるので、散策は容易です。 三宅村営バスでは乗り放題の乗車券を発売しています。2日用が1000円、3日用が1500円。 のんびりゆっくり観光するには最適。一日も早い三宅島の復興を祈るばかりです。 ※実際は分割して乗車。(島一周の所要時間1時間15分)2010年6月の情報
浦郷小学校より先は細い山道。この手前でバスのすれ違いのために数分停車です。やがて山の中から 対向するバスがひょっこり出てきました。 バスはしばらく山の中を進みます。隠岐名物の牛の姿も。この島には牛が860頭もいるそうです。 次の瞬間、車窓には突然高い位置からの 水平線が広がり、思わず感嘆の声を出します。ついに終点国賀(くにが)に到着です。 さらに足を伸ばせば馬がたわむれる草原、そして海蝕崖では日本一の高さ(257m)の摩天崖へと 芸術は続きます。 隠岐汽船10:09−【西ノ島町営バス200円】→10:39国賀 2008年8月の情報
(※2011年10月に経路が変更されました。) 北海道最北部を走る宗谷バス、南稚内駅近くにある南駅前バス停に、浜頓別高校行きの始発バスがやってきました。まだ6時前、 早起きの便です。下は1985年の時刻表、ここには以前同じ区間を国鉄天北線が走っていて、始発列車の南稚内発は5:25でもっと早起き。 当時は浜頓別まで2時間かかりましたが、現在バスで2時間30分かかります。 芦野付近でまた海岸線から離れ、キモマ沼やポロ沼などの間を走り抜けます。これが原野なのかと感じさせられる 自然のままの光景が広がり、村南部の集落浅茅野を通過して行きます。 やがてバスは「飛行場前」というバス停を通りますが、周囲に飛行場はありません。 実は戦争末期わずか1年だけ旧帝国陸軍の浅芽野飛行場があったらしいのです。 村の南部沿岸地域にあたり、現在はただ池沼のある原野なので、いまだにバス停名が「飛行場前」であることには 違和感を感じます。しかし、この飛行場建設による当時の強制労働者の記事もあり、付近では多くの遺骨が 見つかっているそうです。この悲惨な背景を忘れないためにもバス停の名は貴重なのかもしれません。 南駅前5:57−【宗谷バス2120円】→8:21浜頓別 2008年4月の情報 |